「投資は怖い。貯金なら減らないから安心」
50代の私も、ずっとそう思っていました。通帳の数字は確かに減りません。でも、あるとき気づいてしまったのです。
数字は減っていないのに、そのお金で買えるものが減っていることに。
この記事では、「貯金だけ」に潜むリスクを公的なデータで確認し、それでも貯金が果たすべき大事な役割と、私が実際にやった「銀行に置いたまま」のやめ方をお話しします。
結論:貯金は「安全」だけど「無傷」ではない
先に結論です。貯金だけで老後を迎えることには、はっきりしたリスクがあります。
それは元本割れではなく、物価上昇(インフレ)による目減りです。
通帳の100万円は10年後も100万円のまま。でも、その100万円で買えるものは確実に減っていきます。
数字が減らないから気づきにくい——これが貯金だけのリスクの、一番厄介なところです。
データ①:この5年で、物価は約13%上がった
総務省の消費者物価指数(2020年=100)を見ると、2026年5月時点の指数は113.5。
つまり2020年からのわずか5年余りで、物価は約13.5%上昇しています。
2025年の1年間だけでも、前年比+3.2%の上昇でした。
これを「お金の価値」に置き換えると、こうなります。
2020年に100万円で買えたものは、いま約113万円出さないと買えない。逆に言えば、5年間銀行に置いたままだった100万円の実質的な価値は、約88万円分に目減りしたということです。
スーパーでの体感とも合うのではないでしょうか。
お米、パン、卵、電気代……。「最近、何もかも高くなった」というあの感覚は、そのまま「預金の価値が下がった」という意味なのです。

データ②:金利は上がった。でも、まったく追いつかない
「でも最近、預金金利が上がったって聞くけど?」
その通りです。長らく0.001%だったメガバンクの普通預金金利は段階的に引き上げられ、現在は0.3%、2026年8月からは0.4%になります。
かつての数百倍で、これ自体は良いニュースです。
でも、冷静に比べてみてください。
- 普通預金の金利:年0.4%(2026年8月から)
- 直近1年のインフレ率:約1.5〜3%台で推移
金利よりインフレの方が高い限り、預けていても実質的には毎年目減りします。
仮に「金利0.4%・インフレ率2%」が続くと、差し引き年▲1.6%。1,000万円の実質価値は、10年後には約850万円分まで下がる計算です。
「増えないけど減らない」は、残念ながらもう正しくありません。
正確には「数字は微増するけど、価値は減っていく」のです。

私も「貯金だけ」でした。20年以上ずっと
偉そうにデータを並べましたが、私自身、52歳まで貯金と会社の財形貯蓄しか知りませんでした。
20年以上、コツコツ積み立てるだけ。それが一番堅実だと信じていました。
転機は、会社の財形制度が廃止され、積立金がまとめて普通預金に振り込まれたこと。
通帳の残高を眺めながら「このまま置いておくのは、もったいないのでは?」と初めて真剣に考え、そこから投資を始めました。
5年たった今、資産は投資を含めて+50%以上になりました。もちろん相場に恵まれた面はあります。
それでも、もしあのまま普通預金に置いていたら——増えたのは年0.数%の利息だけで、実質的には目減りし続けていたはずです。
このあたりの経緯と数字は、別の記事に詳しく書いています。
→ 50代からの投資は遅い?52歳で始めた私の5年目のリアルな数字
誤解しないでほしいこと:貯金は「悪」ではない
ここまで読むと「じゃあ貯金を全部投資に回せばいいの?」と思うかもしれません。
それは絶対に違います。
貯金には、投資には果たせない大事な役割があります。
- 生活防衛資金:生活費の1〜2年分。病気・失業など、いざというときにすぐ使えるお金
- 数年以内に使う予定のあるお金:車の買い替え、リフォーム、子どもの学費など
これらは値動きのある投資に入れてはいけないお金です。私がその後の暴落局面を平常心で乗り切れたのも、この仕切りがあったからでした。
我が家の次男はまだ大学生。 あと最低でも2年分の学費が必要です。
この分は現金で確保しています。
問題なのは貯金そのものではなく、「使う予定のないお金まで、全部銀行に置いたまま」にしていること。
リスクはゼロではなく、「目減りリスクを取っている」と知った上で置くかどうか、です。
「置いたまま」をやめる3ステップ
私が実際にやった手順は、シンプルに3つです。
ステップ①:お金に「役割」のラベルを貼る
貯金を「①生活防衛資金」「②数年以内に使うお金」「③当面使わないお金」に仕分けします。
①②は銀行に置いたままでOK。見直すのは③だけです。
ステップ②:③の置き場所として証券口座を用意する
③のお金の引っ越し先が証券口座です。
開設は無料で、スマホがあれば15分。
口座を開いただけでは1円も動きません。手順は画像つきでまとめています。
ステップ③:小さく始めて、値動きに慣れる
いきなり全額ではなく、まずは月1万円などの積立から。私も最初は月3万円台の積立から始めて、値動きに慣れてから金額を増やしました。「慣れる」までをステップに含めるのが、50代には一番大事だと思っています。
まとめ:通帳の数字より「買える量」で考える
- この5年余りで物価は約13.5%上昇。貯金の実質価値はその分目減りした
- 預金金利は0.4%まで上がったが、インフレ率には届かず、実質マイナスは続く
- ただし生活防衛資金と数年以内に使うお金は、貯金のままが正解
- 見直すのは「当面使わないお金」だけ。置き場所を用意することが第一歩
「貯金だけで大丈夫かな」と検索したあなたは、もう目減りに気づき始めているのだと思います。5年前の私と同じです。違いをつくるのは、気づいたあとに一歩動くかどうかだけでした。
→ 50代からの投資は遅い?52歳で始めた私の5年目のリアルな数字

コメント